「ペアリングなし」で使えるApple Watchの登場
昨年2020年9月15日(米国時間)に開催されたアップルの新製品発表会で、個人的に興味を惹かれるものが発表された。Apple Watchの廉価版「SE」だ。税抜きで2万9800円、セルラー版でも3万4800円となる。
アップルは、Apple Watch SEを紹介する前に「Apple Watch がiPhoneとペアリングしなくても使えるようになる」「Apple Watchは大切な人々のつながりに不可欠です」という説明を行った。
iPhoneを持っていなくてもApple Watchだけを使うべき人として、アップルがアピールしたのが「子ども」と「シニア」だ。
Apple Watch SEでは、「ファミリー共有設定」により、親のiPhoneに子どものApple Watchをペアリングできるようになる。このとき、子どものApple Watchには子ども専用の電話番号とアカウントを割り当てられる。
子どもにセルラー版のApple Watchを装着させていれば、どこに遊びに行っているのかを親のiPhoneで確認できる。親とは別の電話番号を持っているので、電話もできるし、当然、メッセージも送れるというわけだ。
まさに、Apple Watch SEはアップル版「キッズケータイ」ではないだろうか。
Apple Watchではヘルスケア系の機能にも注力しており、心拍数の測定や、緊急時にSOS発信できる機能、転倒を検出する機能を備えている。
これまた、離れて暮らす父親や母親に装着してもらえば、万が一、転倒してしまったときでも、すぐに気がついて対処することが可能になる。位置情報を捉えており、ちゃんと散歩しているかといったことも把握できるはずだ。もちろん、いざというときに、電話やメッセージを送ることもできる。
ひょっとして、Apple Watch SEはアップル版「らくらくホン」なのだろうか。
まとめ
子どもの成長に気をかけつつ、年老いていく親の面倒も視野に入っている。
アップルとしては、スマートウォッチ市場でぶっちぎりにトップシェアでありながら、さらなるシェア拡大を狙っての「家族への展開作戦」なのだろう。
家族一人ひとりに3万4800円(セルラー版)のデバイスを装着させるのは、かなり悩ましい。しかし、Apple Watch SEをアップル版「キッズケータイ」「らくらくホン」というコンセプトとして捉えると、結構、世界的なニーズがあるような気がしてならない。